『真っ黒焦げの凶暴なウサギ』
・真っ黒焦げの凶暴なウサギ
和智正喜 メガミ文庫 2008年
かつて。神に純真な心を裏切られた白いウサギが、噴出した黒い感情を叩きつけ神を殺してしまった。
現代。神の再生を企てる者達〈善推委〉が潜む白王都学院で、いじめられっ子の少年・友梨拓斗の前に、神殺しのウサギの力を宿す仮面が現れた。
自他の暴力を恐れながらも、拓斗は〈善推委〉に挑む少女・依船優果のため、そして拓斗自身が生きるため、神殺しのウサギ・〈真っ黒焦げの凶暴なウサギ〉となって〈善推委〉と戦うことを決意する。
『仮面ライダー―誕生1971―』が面白かったので、筆者の別作品も読みたくなって、幾つか探してみた中から、まずはこちら。
トラウマを抱えた主人公・拓斗が醜い外見のクリーチャーへ変身し、想いを寄せる少女・優果のために戦うダークな感じの物語です。
同級生や教師から拓斗が虐げられる様子はエゲツなくて、ちょっと気が重くなりました。
やるせなくなる場面が幾つかあるのは、やはり『仮面ライダー』と同じ。
追い求めていた希望の灯を見つけた途端に吹き消されても、そこから新しい希望を見出して前へ進んでいくという展開は、残酷だけれど燃えます。
希望というものについては、まだ『仮面ライダー』よりも救いがありました。
更に『仮面ライダー』と違ってムードメーカーの天才少女キャラがいるのですが、天才設定は活かされないままだったのが残念でした。
全人類の中で十五番目くらいに強い人も実際に戦う場面が無く、他にも名前しか出ていない人がいたり、敵の〈善推委〉メンバーも性格歪んでて面白いのに、一人を除いて〈真っ黒焦げの凶暴なウサギ〉と対峙しなかったりと。
まるで序章か、「第一部完」という風に終わってしまっているので、続刊を期待しています。
最後が少し明るめになったので、軌道修正して、また暗くなっても良いし。
あとがきの前に、拓斗が変身する〈真っ黒焦げの凶暴なウサギ〉や、敵クリーチャーの設定画が載っていて、人間と獣と魚類を合わせた姿がキモカッコイイです。
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